大使館からのお知らせ
平成25年2月4日
在ミャンマー日本国大使館領事部

2月1日、日本国外務省が同省海外安全ホームページに掲載した「ミャンマーに対する渡航情報(危険情報)の発出」を以下のとおりお知らせします。

ミャンマーに対する渡航情報(危険情報)の発出 (2013年2月1日)

  • カチン州ライザー周辺:「渡航の延期をお勧めします。」(引き上げ)
  • カチン州(除く、ライザー周辺):「渡航の是非を検討してください。」(引き上げ)
  • ラカイン州:「渡航の是非を検討してください。」(引き上げ)
  • カチン州、ラカイン州を除く全土:「十分注意してください。」(継続)

☆詳細については、以下の内容をよくお読みください。

1.概況
  • (1)カチン州南東部の一部地域では、2011年6月からミャンマー国軍とカチン独立軍(KIA)との間で散発的に衝突が発生しています。また、2012年年末から2013年年始にかけ、ミャンマー国軍はカチン州ライザーにあるKIA本部周辺に対して航空機による攻撃を行いました。2013年1月18日、ミャンマー政府は攻撃を停止する旨発表しましたが、ライザー近郊ではミャンマー国軍とKIAが対峙した状態が続いています。また、カチン州では主に南部を中心に爆破事件等が散発しています。
  • (2)ラカイン州では、2012年6月8日に発生したマウンドー地区における住民間の衝突を契機として、同6月10日から同州全土に緊急事態宣言が発令され、その後の衝突により、同7月末までに死者77人など多数の被害が発生しました。また、同10月21日、同州内で大規模な衝突が再発し、同10月末までに死者89人など多数の被害が発生しました。2013年1月中旬時点では、大規模な衝突は再発していませんが、引き続き注意が必要です。
  • (3)ミャンマーでは、2012年に入ってから小規模ながら国内各地で各種デモが散発しています。
2.地域情勢
  • (1)カチン州ライザー周辺:「渡航の延期をお勧めします。」
    2011年6月、カチン州南東部に位置するターペイン水力発電所プロジェクト現場に近い拠点をめぐり、ミャンマー国軍と「カチン独立軍(KIA)との」間で戦闘が発生しました。
    2012年1月から、ミャンマー政府はKIAとの間で和平交渉を行っていますが、同州南東部の一部ではミャンマー国軍とKIAとの間で散発的な衝突が繰り返されてきました。2012年の年末、ミャンマー国軍は、KIAが地雷等を仕掛け住民への物資輸送活動に攻撃してきたとして、ライザーにあるKIA本部周辺に対して航空機からの攻撃を行うに至り、2013年1月14日には、ミャンマー国軍の砲弾がライザー中心部に着弾し、一般市民に死傷者が生じました。同1月18日、ミャンマー政府は、物資供給ルートが確保できたとして攻撃を停止する旨発表しましたが、ライザー近郊ではミャンマー国軍とKIAが対峙した状態が続いています。
    つきましては、カチン州ライザー及び同周辺地域の渡航情報(危険情報)を「十分注意してください。」から「渡航の延期をお勧めします。」に引き上げます。同地域への渡航は、どのような目的であれ延期されることをお勧めします。
  • (2)カチン州(除く、ライザー周辺):「渡航の是非を検討してください。」

    2011年6月、KIAとミャンマー国軍との間で戦闘が生じて以降、特にカチン州南部を中心として橋架、道路、線路、車両及び建造物への地雷等による爆破事件等が頻発しました(同6月から同12月末まで合計173件の爆破事件等が発生)。2012年1月にミャンマー政府とKIAとの間で和平交渉が開始された以降においても、同1月から同5月末までの間に40件の爆破事件等が発生しました。同年5月、ミャンマー政府は連邦和平構築作業委員会の再編を行ったこと等もあり、同年6月から同8月末の間では、同6月に州都ミッチーナにて、単車を運転していた男性1人が地雷に触れ死亡する事件1件のみとなっていました。しかしながら、同年9月に入ってから、爆破事件等が再発するようになり、同年9月から同年12月末までの間に以下のような爆破事件等が発生しています。

    ・スンプラボン地区:10月、爆弾爆発2件(死傷者なし)
    ・モーガウン地区:12月、橋架破壊1件(死傷者なし)
    ・パーカン地区:10月、地雷爆発等4件(4人死亡、8人負傷)
    11月、地雷爆発1件(死者なし、3人負傷)
    拘留者護送車列襲撃1件(2人死亡、14人負傷)
    12月、警察署襲撃1件(3人死亡、負傷者なし)
    ・モーニィン地区:9月、地雷爆発1件(死傷者なし)
      12月、線路等爆破2件(死傷者なし)
    ・モーマウ地区:10月、地雷爆発1件(1人死亡、2人負傷) 
    11月、地雷爆発1件(死者なし、2人負傷)
    ・シュエーグ地区:10月、地雷爆発1件(1人死亡、2人負傷)
        ・マンシー地区:10月、地雷爆発1件(死傷者なし)
     11月、地雷爆発1件(死傷者なし)

    つきましては、カチン州のライザー周辺を除く全土の渡航情報(危険情報)を「十分注意してください。」から「渡航の是非を検討してください。」に引き上げます。同地域に渡航・滞在を予定されている方は、渡航の是非を含め自らの安全につき真剣に検討し、最新の治安情報を入手しつつ、十分な安全対策を講じてください。

    なお、2013年1月中旬時点、カチン州は州都ミッチーナを含め全土が「旅行制限区域」に指定されています。つきましては、仮にミャンマー政府から旅行許可が取得できた場合でも、出発前には再度目的地周辺の治安情勢を確認するとともに、渡航にあたっては信頼できる現地情報に詳しい人を同行させるなど、十分な安全措置を講じることをお勧めします。

  • (3)ラカイン州:「渡航の是非を検討してください。」

    ラカイン州では、2012年5月28日に仏教徒女性1人がイスラム教徒に殺害されたことに起因して、同6月3日に同州タウンゴウ地区にて仏教徒自警団がイスラム教徒10人を殺害する事件が発生し、これを契機に、同6月8日には同州マウンドー地区にて住民間の衝突により家屋が放火等され、死者7人、負傷者17人、家屋等500棟以上が破壊されるとの甚大な被害が生じました。これを受け、同6月8日夜にマウンドー地区等に、同6月10日夕刻には同州の州都シットウェ地区等に夜間外出禁止令が発令されました。更に、同6月10日夜には同州全土に対して、緊急事態宣言が発令されました。

    以降、主要都市の周辺や村落等では小規模な衝突や家屋の放火等が断続的に発生し、同7月末までにこの衝突による被害は、死者77人、負傷者122人、損失家屋等5,000棟弱に上りました。

    2012年10月21日、同州ミンビャー地区及びミャウウー地区において住民間の大規模な衝突が再発しました。衝突は各地に拡大し、政府発表によれば、同10月末までに今次衝突により死者89人、負傷者136人、損失家屋等約5,000棟が生じました。

    2013年1月中旬時点で、大規模な衝突は再発しておらず事態は落ち着いていますが、同州全土には緊急事態宣言が発令されたままとなっており、かつ、マウンドー、ブーディダウン、チャウトー、シットウェ、ミャウウー、ミンビャー、チャウピュー、ヤンビエの8地区には夜10時から翌朝4時までの夜間外出禁止令が発令されています。また、ミャンマー政府は、ガパリ・ビーチを含むタンダウェー市を除く同州全土を「旅行制限区域」に指定しており、旅行許可なしには入域できません。

    つきましては、同州全土の渡航情報(危険情報)を「十分注意してください。」から「渡航の是非を検討してください。」に引き上げます。上記地域に渡航・滞在を予定されている方は、渡航の是非を含め自らの安全につき真剣に検討し、最新の治安情報を入手しつつ、周囲に警戒を払う等、十分な安全対策を講じてください。また、仮に旅行許可が取得できた場合でも、出発前には再度目的地周辺の治安情勢を確認するとともに、渡航にあたっては信頼できる現地情報に詳しい人を同行させるなど、十分な安全措置を講じることをお勧めします。

  • (4)カチン州、ラカイン州を除く全土:「十分注意してください。」  

    ア.シャン州ラオスとタイとの国境に接するメコン川流域

    2011年10月、シャン州タチレイク市に近いラオスとタイとの国境に接するメコン川でミャンマー船籍と中国船籍の商船2隻が武装勢力の襲撃を受け、中国人船員13人が殺害される事件が発生しました。この事件を受け、同地域は中国、ミャンマー、ラオス、タイが共同警備体制を敷いています。

    イ その他
    (ア)ミャンマーでは、2012年に入ってから、小規模ながら以下のようなデモが発生しています。
    • ・5月:マンダレー等で電力不足に抗議するデモ、ヤンゴン市内の複数の工場で賃上げや勤務環境改善を求めるストライキ
    • ・8月:ヤンゴン等で週刊誌2誌に対する発刊停止の処分解除を求める抗議集会
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    • ・9月:ヤンゴン等で反戦デモ
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    • ・10月:各地でイスラム協力機構(OIC)事務所開設に反対するデモ等
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    • ・11月:ヤンゴン、マンダレーでレパダウン鉱山プロジェクトに抗議するデモ
    (イ)ミャンマー(除く、カチン州)では、2012年に入っても同年6月末までは小規模な爆破事件等が各地で計14件(シャン州8件、ザガイン地域2件、マンダレー地域・カヤー州・カレン州・エヤワディー地域各1件)発生していましたが、同7月・8月には爆破事件等は発生しませんでした。しかしながら、同9月以降、以下のような小規模な爆破事件等が発生していますので、引き続き注意が必要です。
    • ・ザガイン地域
      インドゥ地区:11月、地雷による線路爆破4件(死傷者なし)
    • ・シャン州
          タチレイク地区:9月、家屋付近で銃器用火薬誤爆(1人死亡、負傷者なし)
      ラウカイン地区:11月、ゴミ集積所での地雷爆発(1人死亡、4人負傷)
      ッカイ地区:11月、道路脇にて不審物爆発(死傷者なし)
    • ・カレン州
      タンダウン地区:11月、道路脇にて地雷爆発(死者なし、2人負傷)
    (ウ)2010年10月に上陸したサイクロン「ギリ」により、ラカイン州を中心とした地域に甚大な被害を与えました。今後ともサイクロンの発生・進路状況には注意を払う必要があります。
    (エ)2012年11月11日、マンダレーから北方115kmを震源とした地震及び多くの余震が発生し、ミャンマー政府によれば同15日現在で、死者16人、被災者約800人、500戸を越える住宅が被害を受けました。
    つきましては、これらの地域に渡航・滞在される方は、信頼できる旅行会社等を通じ、安全な渡航手段・滞在先を選ぶとともに、現地の治安情報にも注意を払い、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
3.滞在に当たっての注意

滞在中は、下記の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください(この他の留意事項などについては、「安全対策基礎データ」を参照してください。)。また、外務省、在ミャンマー日本国大使館、現地関係機関、報道等から最新情報を入手するよう努めてください。

  • (1)ミャンマー政府は、安全上の理由等から国境と接している州・地域を原則外国人の立ち入りを禁止する「旅行制限区域」に指定しています(注、カチン州、ラカイン州は上記をご参照ください)。業務などによりこれら制限区域への渡航を検討される場合には、事前に旅行代理店等を通じ、ミャンマー政府の許可を取得する必要があります。また、仮に旅行許可を取得できた場合でも、出発前には再度目的地周辺の治安情勢を確認するとともに、渡航にあたっては信頼できる現地情報に詳しい人を同行させるなど、十分な安全措置を講じることをお勧めします。なお、これら地域への旅行の必要性が見込まれる場合は、事前に在ミャンマー日本国大使館にもご相談ください。
    (注)全土を旅行制限区域に指定している州:チン州、カヤー州
    一部の都市・地域を除く全土を旅行制限区域に指定している州・地域:ザガイン地域、シャン州、カレン州、モン州、タニンダリー地域
  • (2)集会やデモが行われている場所には決して近づかず、その場から速やかに回避してください。
  • (3)不測の事態に巻き込まれることのないよう、標的となる可能性のあるモスク等宗教施設、政府機関、軍・警察関連施設には可能な限り近づかないでください。
  • (4)ミャンマーでは過去にショッピングセンター、映画館、バス停や市場などでも爆弾事件が発生しています。人が多く集まる場所では周囲への警戒を怠らないようにしてください。また、不審な状況や不審物を察知したら速やかにその場から離れてください。なお、爆弾テロ事件の注意事項については、2012年6月26日付広域情報「爆弾テロ事件に関する注意喚起」も御参照ください。
  • (5)軍・警察関係施設、港湾及び橋梁などは原則として写真撮影禁止となっています。
  • (6)麻薬等違法薬物関連犯罪に対しては厳しい取り締まりが行われており、違反すると罰則が科されます。罪状が重大で悪質と判断されるときには死刑を宣告されることもあります。
  • (7)道路整備状況は劣悪で、交通マナーも悪く、整備が行き届いていない車両も多いため、各地で交通事故が多発しています。また、都市部を除く地域では街灯も極めて少ないこと等から、夜間に発生する事故の割合も多くなっています。バス等による夜間の長距離移動は極力避けてください。
  • (8)2011年9月、ミャンマー中部の観光名所たるパガン近郊において、単独旅行中の邦人女性がバイクタクシー運転手の男に殺害される事件が発生しました。特に女性の一人旅は可能な限り避け、日中であっても注意を怠らないようにすることをお勧めします。
  • (9)現地に3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後遅滞なく在ミャンマー日本国大使館へ「在留届」を提出してください。また、住所その他の届出事項に変更が生じたとき、又はミャンマーを去る(一時的な旅行を除く)ときは、必ずその旨を届け出てください。
     なお、「在留届」は、在留届電子届出システム(ORRネット: http://www.ezairyu.mofa.go.jp/ )による登録をお勧めします。また、郵送、FAXによっても行うことができますので、在ミャンマー日本国大使館まで送付してください。
4.隣国のタイ、ラオス、中国、インド、バングラデシュに対しても、それぞれ危険情報が発出されていますので、これらにも御留意ください。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311 (内線)2902

(外務省関係課室連絡先)
○外務省領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139
○外務省領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3496
○外務省海外安全ホームページ: http://www.anzen.mofa.go.jp
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (携帯版)

(現地大使館連絡先)
○在ミャンマー日本国大使館
住所:No.100, Natmauk Road, Bahan Township, Yangon, The Union of Myanmar
電話:(市外局番01)549644~549648
国外からは(国番号95)-1-549644~549648
FAX:(市外局番01)549643
国外からは(国番号95)-1-549643
ホームページ: http://www.mm.emb-japan.go