ミャンマーに対する円借款に関する書簡の交換

本29日、首都ネーピードーにおいて、吉廣朋子在ミャンマー臨時代理大使とマウン・マウン・ウィン計画・財務副大臣(Mr. Maung Maung Win, Deputy Minister for Planning and Finance)との間で、供与限度額合計1,170億4,000万円の円借款に関する交換公文の署名が行われました。具体的な4件のプロジェクトを実施するもので、概要は以下のとおりです。

【各案件の概要】

(1) 「農業所得向上計画」 供与限度額304億6,900万円

ミャンマーの国民の6割が従事する農業分野の所得向上を目指すプロジェクトです。ザガイン地域シュエボー灌漑地区において、農業生産・流通インフラの整備及び営農技術普及・農業機械化を推進し、同地域の農業収入の向上を図るための資金を融資します。この融資により、灌漑施設の改修、農村道路・橋の改修、約2,000ヘクタールに及ぶ田畑の整備、種子センターの開設等がなされ、2027年(事業完成4年後)には、同地域の平均農業収入が約1.5倍になる見込みであり、ミャンマーの持続的経済成長に寄与することが期待されます。

(2) 「ヤンゴン・マンダレー鉄道整備計画(フェーズⅡ)(第一期)」
供与限度額566億2,200万円

ミャンマーの主要都市を繋ぐ鉄道整備プロジェクトです。ミャンマー政府が、ミャンマー最大の商業都市ヤンゴン、首都ネーピードー、第二の商業都市マンダレーを結ぶヤンゴン・マンダレー鉄道(約620km、複線区間)を整備するための資金を融資します。老朽化した既存の施設・設備を改修し近代化を図ることにより、より安全で高速の列車運行と旅客・貨物の輸送能力の増強が実現します。 日本は、既に、ヤンゴン・タウングー間の整備のための協力(円借款)を実施しており、この計画はタウングー・マンダレー間の整備を協力するものです。この鉄道の整備により、2026年(事業完成2年後)には1日あたりの運行本数は約30本から約100本に増加します。また、現在約8時間かかっているタウングー・マンダレー間の所要時間は、4時間50分程度に短縮される見込みで、ミャンマーの経済発展に寄与することが期待されます。

(3) 「中小企業金融強化計画(フェーズ2)」
 供与限度額149億4,900万円

ミャンマーの中小企業振興及び金融セクターの融資能力向上を目指すプロジェクトです。ミャンマー経済銀行からミャンマーの現地金融機関を介して,中小企業への中長期且つ緩和的な担保条件による資金の供与を行うとともに、現地金融機関等への能力強化を支援するための資金を融資します。これにより、ミャンマーの中小企業金融に係る資金仲介機能の円滑化を促進するとともに、製造業で約4万社、非製造業を含めると約12万社存在するといわれるミャンマーの中小企業の生産・投資の拡大を図ります。また、現地の裾野産業が育成され、ミャンマーの持続的経済成長及び雇用創出に寄与することが期待されます。

(4) 「住宅金融拡充事業」 供与限度額150億円

ミャンマーの低中所得世帯向け住宅ローン供給及び住宅セクターを拡充するプロジェクトです。この計画では、ミャンマー経済銀行からミャンマーの現地金融機関を介した長期資金のローンにより、低中所得世帯へ住宅ローンを供給するとともに、仲介金融機関や住宅関連機関の能力向上・体制構築支援を通じて、低中所得世帯向けの住宅供給の促進を図るための資金を融資します。 低利かつ長期の住宅ローンが初めて導入されることにより、中長期的に人口が倍増することが見込まれる都市部を中心に、より所得の低い世帯も含めて、2022年までに約1万5千世帯が住宅を取得できることとなります。また、仲介金融機関の住宅ローン供給能力の強化とともに、耐震性等を向上させた住宅建設等も支援することで、国民の生活向上及びミャンマーにおける住宅セクターの発展に寄与することが期待されます。